茅ヶ崎市内では近年大規模開発が進み、まちの姿が大きく変わろうとしている。市役所周辺の再開発だけでなく、南西部においては2018年3月に運動公園が開園し、その向かいの土地には道の駅の建設が予定されている。また、URの浜見平 団地23haの建替え事業が2022年頃まで続く。北部では、2017年度から「下寺尾 遺跡群」(国指定史跡)の保存活用事業がスタートし、2022年度には(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館が開館予定である。こうした開発や施設整備事業に市民、住民、地域が主体的に関わるまちづくりをどのように実現していくか、また地域固有の環境や文脈をどのように読み解き計画に盛り込んでゆくのかが大きな課題である。
前身組織の市民団体「まち景まち観フォーラム・茅ヶ崎」が、首都大学東京(現東京都立大学)の協力を得て地元自治会を支援し、地域が長年要望してきた公園の計画案を作成、市に提案、整備されることになった。この経験から、まちづくりセンターの必要性や可能性について検討を始めた。「景観まちづくりスクール」の開催、景観まちづくりセンターを臨時設置して開催した「景観まちづくりウィーク」を通じアーバンデザインセンターの必要性を認識するようになった。しかしながら、当時の「景観計画」では位置づけられていた「まちづくりセンター」の設置が、次期「景観計画」では記載されない方向が明確になり(現行の「景観計画」では明記されていない)、行政が参画した形での実現は困難となった。そこでNPO法人を設立し、市民発意で公・民・学の連携でまちづくりに取り組み、拠点施設の設置を目指すことになった。
2016年8月に「NPO法人アーバンデザインセンター・茅ケ崎」を設立し、フットパス構想の推進、景観まち歩きの企画や発信、遺跡まちづくりの検討・提案等に取り組んできた。これらの成果について、冊子やマップの発行・発信を行い、2022年3月をもって、団体を解散した。
「歩きたくなるまち」・「歩きやすいまち」茅ヶ崎の実現のために、美しく・楽しく・安全な都市空間の形成を、公・民・学の連携により行った。具体的には、以下の3つの事業があげられる。
1. 小出川フットパス構想:
茅ヶ崎市西部を流れる小出川沿いには、多くの歴史文化資源、自然資源が集積している。これらの資源をつなぐストーリーづくりやハード面での歩きやすさ追求する「フットパス構想」立案に向けて、基礎的な情報収集、ステークホルダーとの関係づくり、フットパスに関する周知のためのワークショップやイベントなどを実施する。
2. 「Discover Chigasaki 景観まち歩き10選」:
コロナ禍における身の回りの環境への関心の高まりや、歩くライフスタイルへのニーズの増加という背景を踏まえて、UDCCのこれまでの活動のなかに蓄積されているまち歩きコース10を厳選し、ウェブサイトで公開。各コースの距離は5km程度(2〜3時間)であり、オンライン上のマップ(Google Map)で、その推奨ルートと主要スポット(写真と簡単な解説付き)を紹介。また、Google Earthの「ツアー」機能を活用し、Youtube上でバーチャルまち歩き体験を可能にした。
3. 下寺尾 遺跡群「遺跡まちづくり」:
国指定史跡「下寺尾官衙遺跡群」「下寺尾西方遺跡」(弥生時代から平安時代までの重層的な遺跡群)に関して、市や下寺尾遺跡群保存活用連絡会と連携したイベント実施、遺跡の現代的価値の解明、遺跡活用方法の検討に取り組む。
市民発意による公・民・学連携のまちづくりの推進を目指しつつも、現実的には市民活動として、市内諸団体協働のもと、地域の活動と空間形成を結びつけることで、「歩くまち茅ヶ崎」の実現を目指す活動を実施してきた。
設立以来、拠点施設はなく、また有償の専任スタッフも存在しないことが課題であった。場所、人材、安定財源の確保にも力が入れられてきたが、確保の目途が立たないこともあり、UDCCとしての活動は2022年3月をもって終了した。
・正会員:10名
・賛助会員:個人会員9名 / 団体会員1団体(特定非営利活動法人まちづくりスポット茅ヶ崎)
※解散前時点
理事長・センター長:高見澤 和子(元 まち景まち観フォーラム・茅ヶ崎 代表)
副理事長・副センター長:岡村 祐(東京都立大学准教授、OCTC副センター長)
理事:西村 正雄(自治会役員) / 杉﨑 和久(法政大学教授)
監事:神尾 元洋(会社員)
事務局長:城田 禎行(会社員)
※解散前時点
法人の理事メンバー数名を中心に、ボランティアで事務局を担っている。2018年度より事務局長を選任。
※解散前時点
常設施設はない。状況に応じて市内の公共施設を利用(高砂コミュニティセンター、茅ヶ崎市民活動サポートセンター)。
※解散前時点